【症例紹介:急性肝障害】

[2014年06月12日]

『肝臓』と聞いたら、お父さんがビール飲みすぎてなっちゃう肝硬変なんて想像する方も多くおられると思いますが、肝臓はお腹の中の臓器で、解毒、代謝、分解を行う臓器です。
この肝臓は『沈黙の臓器』といわれており、相当悪くならないと症状を出さないといわれています。

今回の症例は夜間来院されました。まだ若い5歳のワンちゃんです。
呼吸が粗く、食欲がやや少なく、嘔吐を数日してました。

検査を実施すると、胸部・腹部レントゲン、腹部エコーに異常所見がなく、血液検査ではALT、ASTと呼ばれる肝酵素が500と上昇していました。
『急性肝障害』に伴って、食欲低下、嘔吐、呼吸が早い(横隔膜と接しているので)という症状がみられたと思われます。

よく避妊・去勢手術時の検査で肝臓の数値が高いですね、といわれるのはこれらの数値である事が多いです。
ここでよくある言葉の間違いとしては、肝機能不全ではなく、肝細胞障害である事です。肝機能が悪いとAlb[アルブミン]、BUN、コレステロール、Glu[血糖値]の低下やアンモニアの上昇がみられます。『肝機能が悪い』というのは『肝細胞障害』がつづいた結果起こる可能性があります。

急性肝障害の治療は、点滴で肝臓のケアをしたり、食欲があれば内服で肝臓のケアをしていく事になります。
ちなみにこの症例も点滴と内服でALTが200台まで下がり、呼吸も安定、食欲も安定、嘔吐もなくなりました。
これらの治療で治癒できるケースが多いので、しっかり治療したいですね。
世の中のお父さん方もビール飲みすぎて肝硬変になりませんように・・・

チェルシーアニマルクリニック
院長 小池 博行