【症例紹介:耳介切除術、耳介フラップ形成(扁平上皮癌)】

[2014年06月11日]

今回の症例は、2年間耳を怪我しているという事で他院にて、飲み薬(抗生物質と思われる)や塗り薬を行っていたネコちゃん、14歳です。
治療での効果はなく、2年間エリザベスカラーを外したことがなく、来院時にはすでに皮膚が欠損していました。

見た目の皮膚からは疑いとして、皮膚ダニ(カイセン)、感染(ウイルス、細菌)、腫瘍が考えられます。
院内初診時に皮膚ダニの検査を行った所、陰性、皮膚表面スタンプ検査では腫瘍細胞は確認されませんでした。

ただ、見た目の皮膚の状態からは腫瘍が一番強くうたがわれるために、
治療・診断としては
①組織生検で診断をつけた上で治療プランを検討(2回の麻酔が必要)
②皮膚再建が難しい左耳は切除バイオプシー(耳を切って病理検査へ提出)、右耳も基本切除バイオプシーが必要であること を提案しました。

時間の経過も長く、特に左耳は温存が不可能であるため、②を実施しました。
右耳は腫瘍の疑いが限りなく強く、耳介切除を提案したのですが、可能な限り耳を残したいという飼い主様の意向、強い希望を汲み取り、頭の皮膚をもってきて耳の再建を行いました。

結果としては、両耳とも扁平上皮癌、局所再発が強い腫瘍です。
特に温存した右耳は腫瘍細胞がほぼとれているものの、マージン(癌細胞の範囲)が狭いという結果でした。

基本的に、この症例では両耳とも耳介切除が必要な症例と思われますが、耳を再建した右耳も再発なく、過ごせればなによりと思っています。そして2年ぶりにエリザベスカラーが外れた生活を堪能してくださいね。

チェルシーアニマルクリニック
院長 小池 博行